閃光のように 第5話


颯爽と現れた仮面の男、ゼロ。
漆黒の外套を纏った男がパチンと指を鳴らした!
なんと毒ガスのカプセルが現れた!
みんなパニック!
その隙に宣言!

「自らの罪を立場の弱い名誉ブリタニア人の一等兵になすりつけるという卑劣な行為、この私が許さない!」

合図と共に煙幕噴射!
ギアスで変身!
混乱した隙にスザクを救出!
車を運転していたカレンと共に逃走成功!

そして現在に至る。

「枢木スザク、私と共に来い」

ゼロは力強く真剣な声音でスザクに手を差しのべた。
お前はこちら側に来るべき人間だ。
ブリタニアに蹂躙されていい人間では無い。

「・・・な・・・そ、それは・・・」

スザクは一瞬言い淀んだ後、みるみる顔を赤らめた。
赤らめた?
陰でこっそりのぞき見をしていたC.C.は頭の上に”?”を飛ばした。
ゼロであるルルーシュとしては、スザクが動揺を見せる事は想定内。
赤面したのは些細な事だと特に気にしなかった。
だが、スザクが口にした内容は、想定の範囲を軽く超えていた。

「それは、プロポーズと言う事でいいのかな?」
「・・・は?」

顔を赤くしたスザクの真剣眼差しに射抜かれ、一瞬思考が停止したらしいゼロは、間の抜けた声を出した。
C.C.にも何がなんだかさっぱり解らなかったが、このやり取りに笑いが込み上げてしまい、ここに居る事を悟られないようにするだけでいっぱいいっぱいになった。
お前、この状況で、仮面の変人にプロポーズされたと解釈したのか!?
仮面にマントに変声機の変人だぞ!?
しかも顔を赤らめるなんて脈ありってことか!?
何だこの展開は。
予想外すぎて楽しい!!!
恐るべし、くるくる!
ちょっとだけ気に入ったぞお前の事が!

「・・・違うのかな?」

返事が無いので、眉尻を下げ、まるで捨てられた子犬のような表情になった。

「え?・・・ああ」

完全に混乱しているゼロは、肯定では無いのだが、そう聞こえるような声を出してしまった。

「やっぱりそうなんだね」
「・・・は?いや、違う。間違っているぞ!これは断じてプロポーズでは無い!」

にっこりと、笑顔で言われた言葉に再びフリーズしたゼロは、復活すると即座に否定した。その否定にスザクはキョトンとした顔で首をかしげた。

「違う?何が?」

だって一緒に来いって言ったじゃないか。

「私が誘っているのは、ブリタニアと戦うために軍を離れて」
「結婚して一緒に戦おうってことでしょ?」
「違う!大体私は男だ!」
「隠さなくてもいいよ。あんなにしっかり抱きしめられたら、いくらさらしを巻いてても解るんだよ?骨格だって女性の物だったし」

匂いだって、男とは思えないし。

「隠してなどいない!それは枢木、お前の勘違いだ!」

このやり取りに、とうとうこらえ切れなくなりC.C.は声をあげて笑いだした。
二人の視線がこちらに向いたので、がれきの裏から二人の前に姿を現す。
もちろん腹を抱え、アハハハハハハと笑い声を上げながら。

「C.C.!」
「君は・・・あの時の・・・」

そこまで言った後、スザクは何かに気がついたようなハッとした顔をし、C.C.とゼロの間を数回視線をさまよわせた。
そして、瓦礫の上に立つゼロとの距離を一瞬で詰めた。

「・・・なっ!?」

ゼロはそれなりに運動神経はある。
素早い動きで延ばされた手をかわし、瓦礫の下へ飛び降りた。
着地した時バランスを崩し転びそうになったので、C.C.は吹き出した。

「まって、仮面の下を見せて!」

スザクもすぐに瓦礫から飛び降りる。
じわじわと迫るスザク。
じりじりと後退するゼロ。
その光景にC.C.は吹き出しながらもキラキラとした瞳で様子をうかがっていた。

「すまないが枢木。私の顔を見せる訳にはいかない」

じりじり

「結婚する相手の顔は知っておくべきだと思うよ?」

じわじわ

それはポロポーズを受け取ったという事かくるくる!
お前凄いな!
それとも告白されれば即OKなのかお前!?
仮面の下がぶっさいくな男だったらどうする気だ!?
C.C.は呼吸するのも苦しそうなほど楽しげに笑っていた。
一応スザクもゼロも真剣そのものなのだが、そのBGMはC.C.の馬鹿笑い。
何とも滑稽な状況だった。

「・・・君は僕に勝てないよ?」

C.C.の笑い声にイラッとしたスザクは、スッと目を細めると一気に間合いを詰めた。
体力馬鹿のスザクに勝てるはずがない。
そんな事解りきっている。
くっ!こうなったら仕方無いっ!

ギアス発動!

キュイーンカシャッ!

ゼロは女の子になった!

さらしのせいで胸が圧迫されて苦しいが、これで対等に戦える!
スザクの手を素早い動きで捕まえると、ゼロは一本背負いを決めた。 さすがマリアンヌの血。武術の心得など護身用程度のルルーシュでも様になっている綺麗な背負い投げだった。
スザクは「え!?」と、信じられないというような声を上げた後、床にたたきつけれた。
完全な不意打ちで、技は綺麗に決まった。
だが、目をぱちくりと瞬かせただけで、スザクは平然と立ち上がった。
ダメージゼロか。
結構な勢いで背中から落ちたはずなのにな。
だが、スザクの顔には明らかに困惑が浮かんでいた。
呆然とゼロを見つめていたが、息を一つ吐いた後、頭を左右に振った。

「・・・考えても仕方ない。その下を見れば解る事だ」

その方が考えるより早いし。
一瞬で困惑を消し、先ほどとは比べ物にならないほどの鋭さでスザクは動いた。

「くっ」

それをどうにか捌きながらゼロは後退する。
激しい攻防に、別の意味でわくわくしてきたC.C.はいいぞやれ!逃げろゼロ!とヤジを飛ばしながら観戦した。
だが、その攻防は、5分も立たずに終わりを迎える。
崩れ落ちた建物はそもそも足場も悪く、そんなに広くもない。
とうとうゼロの背中が壁に当たった。

「・・・くっ」

悔しげにゼロはうめいた。

「はぁはぁ、君、凄いね」

あの体力馬鹿が、肩で息をしながら感嘆の声を上げた。

「こんなに手ごたえのある相手は久しぶりだよ」

褒められてうれしいような悲しいような。
複雑な気分でゼロはスザクを見つめた。

「じゃあ、諦めてその下、見せてくれないかな」

そう言いながらスザクは両手を仮面に伸ばした。
ゼロも諦めただろうと、スザクは僅かに油断していた。
その隙を見逃すゼロでは無い!
その動きはまさに閃光。
一瞬でスザクの腕を軸に体を翻し、スザクの後方へ回りこむと、鋭い回し蹴りをその背中へと繰り出した。だがスザクも即座に反応し、拳をゼロの頭部めがけ突きだす。
ゼロの蹴りを受け、スザクは目の前の壁にたたきつけられた・・・のだが。

「・・・!?」
「・・・っ、やっぱりルルーシュだ」

良かった、勘違いじゃなかったと謎の安堵の息をついたスザクの手には漆黒の仮面。
スザクは蹴られるのは覚悟の上で、あくまでもゼロの仮面を剥ぎ取る事を優先していたのだ。
はぁはぁと荒い息をしていたルルーシュは、息苦しいとばかりに口元を覆っていた布を引き下げた。
ここまで見られた以上、隠す事はもう不可能。

「・・・でもルルーシュ、どうして左目赤いの?」

充血?
カラーコンタクト?

「・・・お前には関係のない事だ」
「・・・じゃあ、それはまたあとで聞くけど、何で女の子になってるのさ?もしかして僕のために性転換を!?」

気持ちは嬉しいけど、君の体を傷つけるなんて!
大体、君の体の手術したの誰!?
場所はどこ!?教えてよ!
ちょっとそいつ消してくるからさ!

「まて!俺は男だ!断じて女では無い!!」
「・・・まだ言い張るんだ?いいよ?それなら服を脱がせるだけだしね?」

仮面を床に置くと、スザクはそれはそれは楽しげに笑った。

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